脱水症予防【南部鉄器と健康】7日間で学ぶ「鉄分・ミネラル補給と体の整え方」⑤
5日目 【夏対策】汗で失われるのは塩分だけじゃない!脱水症予防のミネラル講座
南部鉄器の連載ですが、今日は少し視点を変えて、気温が上がり、汗をかく機会が増える時期に特に重要となる「脱水症予防」と「ミネラル」の関係に焦点を当てます。実は、脱水症予防の鍵は水分だけでなく、汗と共に失われる電解質(ミネラル)の補給にあるのです。
汗の成分:水分と電解質のアンバランスが脱水症を招く

私たちの体は体温調節のために汗をかきますが、この汗は単なる水ではありません。
- 水分の喪失: 体内の水分量が減り、血液がドロドロになり、熱中症や脳梗塞のリスクが高まります。
- 電解質の喪失: 汗には主にナトリウム(塩分)のほか、カリウムやマグネシウムといった重要なミネラルが含まれています。これらが失われると、細胞内外の水分バランスが崩れ、「隠れ脱水」や熱中症特有の症状を引き起こします。
特にカリウムは、筋肉の収縮や神経の伝達に関わるミネラルであり、不足すると全身の倦怠感や食欲不振につながります。
経口補水液(ORS)の重要性とミネラルの役割

「水だけ」を大量に飲むと、体内のナトリウム濃度がさらに薄まり、危険な低ナトリウム血症(水中毒)を引き起こす可能性があります。そのため、脱水症対策には、**経口補水液(ORS)**のように水分と電解質、そして吸収を助ける糖質がバランス良く含まれた飲料が有効です。
- ナトリウム: 水分の吸収を促進し、体液バランスを保つ。
- カリウム: 細胞内の水分を維持し、筋肉の正常な機能をサポートする。
スポーツドリンクではなく、ORSが推奨されるのは、これらの電解質濃度が人間の体液に近くなるように設計されているためです。
鉄器のある暮らしから脱水症予防への意識へ
南部鉄器は、鉄分補給という点で非常に優れていますが、脱水症予防という観点では直接的な効果はありません。しかし、ここで大切なのは**「ミネラルを意識する生活」**です。

- 鉄器で沸かしたお茶を飲む: 鉄器で沸かしたお湯(白湯)や、それを使ったお茶には、まろやかな風味があり、水分補給が楽しくなります。鉄器が教えてくれた「ミネラルの大切さ」を、脱水症予防にも応用しましょう。
- 夏の調理に鉄器を使う: 鉄器で調理した夏野菜の煮物や汁物は、鉄分と一緒にミネラル豊富な野菜を美味しく摂取できます。また、鉄器の熱伝導の良さは、短時間で調理を済ませ、暑いキッチンでの滞在時間を減らすことにもつながります。
脱水症予防は「水分+ミネラル」が鉄則です。鉄分だけでなく、日々の食卓で幅広いミネラルを意識的に摂取し、夏の健康をしっかりと守りましょう。明日は、鉄器の持つもう一つの魅力である**「お湯の味を変える力」**について深掘りします。
