【第8話】3月3日。大人になった私へ贈る、手抜きで華やかなひな祭り
仕事帰り、いつものスーパーの入り口付近が、やけに華やかなピンク色に染まっていた。 「あ、そっか。今日はひな祭りか」
桃の花の造花や、ひなあられ、そして桜餅。 美咲は立ち止まり、少しだけ懐かしい気持ちになった。 実家にいた頃は、母親が毎年小さな雛人形を飾り、夕食には必ずちらし寿司とハマグリのお吸い物が出てきたものだ。 「もう大人なんだから」と照れくさく思いながらも、あの特別感が好きだった。
(一人暮らしだし、関係ないと言えば関係ないんだけど……)
でも、こういう季節の行事に乗っかって、自分を甘やかす口実にするのも悪くない。 美咲は鮮魚コーナーへ向かい、「ひな祭り用」として売られている、細かく切られた色とりどりのお刺身のパック(海鮮ちらし用)をカゴに入れた。 一からちらし寿司を作るのは無理でも、これをご飯に乗せるだけなら私にもできる。
家に帰り、まずは急いでご飯を炊く。 研いだお米に水を張り、そこに「鉄丸」をポンと入れる。 我が家のご飯は、いつもこの鉄丸を入れて炊いている。鉄分が補給できるのはもちろんだけど、不思議とお米一粒一粒がふっくらと立ち上がって、ツヤツヤに炊き上がるのだ。 お酢を混ぜて酢飯にする時も、ご飯がべちゃっとせず、お店みたいな仕上がりになるのがお気に入り。
ピーッ、ピーッ。 炊飯器の音が鳴り、蓋を開けると、ふわりと甘い湯気が立ち上る。 熱々のご飯をボウルに移し、市販の「すし酢」を回しかけて、うちわでパタパタと仰ぎながら切るように混ぜる。
お気に入りの透明なグラスを取り出し、酢飯、きゅうりの角切り、酢飯……と層になるように重ね、一番上にお刺身のパックをドサッと贅沢に盛り付ける。 最後に、買ってきた桜餅をお皿に添えれば、美咲だけの小さなひな祭りパーティーの開幕だ。
「いただきます」
見た目も華やかなカップちらし寿司を頬張ると、口の中いっぱいに春が広がった気がした。 大人になった私、毎日よく頑張ってるよ。 心の中でそっと自分をお祝いしながら、美咲はゆっくりと春の味を堪能した。
📝 今日の帰り道 買い物リスト
- 海鮮ちらし用お刺身パック(または、お好きなお刺身の切れ端)
- きゅうり(1/2本)
- 大葉(数枚)
- 市販のすし酢
- 桜餅(ご褒美用!)
🍳 今夜の献立:グラスで簡単!ご褒美カップちらし寿司

今日はひな祭りですね。女の子のお節句ですが、大人になった私たちも、たまには季節の行事に乗っかって美味しいものを楽しみましょう!
【作り方(調理時間:ご飯を炊く時間を除いて約10分)】
- ご飯を炊き、熱いうちにすし酢を混ぜて酢飯を作ります。きゅうりは小さな角切り、大葉は千切りにしておきます。
- 透明なグラスやカップを用意し、酢飯→きゅうり→酢飯の順に重ねていきます。
- 一番上に、市販のちらし用お刺身を彩りよく乗せます。
- 仕上げに大葉を散らせば完成!
💡 美咲の美味しくなるコツ ご飯を炊く時に「鉄丸」を入れると、お米がふっくらツヤツヤになり、酢飯もワンランク上の仕上がりになります。毎日の主食からしっかり鉄分が摂れるので、貧血気味の方にも本当におすすめです。 今日は食後に桜餅も食べて、心を満たしてあげてくださいね。
